「はしか」について

「はしか」はもっとも感染力の強い感染症のひとつです。

 

空気感染

空気感染をします。

空気感染とは、ウイルスを含んだ粒子がしばらくの間は空気中を漂っているために、これを吸い込む事によって感染してしまうということです。

感染した人が立ち去った後でも感染することがあります。これが感染が拡大しやすい理由のひとつです。

空気感染以外でも、飛沫感染や接触感染でひろがります。

 

基本再生産数

ある感染症にかかったひとりの患者さんが、その感染症にかかる可能性のある人(ワクチンを接種していないとか、実際にかかったことがないとか、感受性があるとも表現します)にどれくらい、うつしてしまうかという数字を「基本再生産数」と言います。

「はしか」の基本再生産数は12~18とされています(報告によっては16~21、これに並ぶ感染症は百日咳くらいです)。これはとても高い数値です。

毎年身の回りで流行して、よくうつるという印象のあるインフルエンザでも2~3程度です。

 

潜伏期間

ウイルスが体内に入ってから症状が現れるまでの期間を「潜伏期間」といいます。

「はしか」の潜伏期間は約10~12日間程度といわれていますが、場合によっては7日から18日間くらいのばらつきがあります。

以前にワクチンを接種した人は、潜伏期間が長くなることもあるので注意が必要です。

 

「はしか」の症状

「はしか」の症状は発熱から始まります。

38度くらいの熱が2~4日続きます、この時に鼻水や咳、結膜炎症状(目の充血や目やに)なども伴います。

少ないですが、「羞明(しゅうめい)」といって普段より光をまぶしがる症状に気付かれる保護者の方もいます。

熱はいったん少しだけ下がりますが、すぐに39度くらいまで上昇し発疹が出始めます。

発疹が現れる1~2日前から口の中(頬の内側あたり)に「コプリック斑」と呼ばれる白い斑点が見られます。

体に現れる発疹は赤い粒状で、はじめに髪の毛の生え際、耳の前や下、首に出ます。顔にも現れ、1~2日かけて体幹(胸や腹や背中)や手足にまで広がります。

発疹の粒はバラバラですが、やがてくっつき(癒合して)一面が赤くなることがあります。

発疹はやがて退色していきますが、銅褐色の色素沈着がしばらく残ります。

 

「はしか」の合併症

「はしか」に感染したときに、他の病気(合併症)を引き起こすことがよくあります。

合併症のうち半分は肺炎です。これよりも頻度は低い(1,000人にひとり)ですが脳炎も起こします。この肺炎と脳炎は「はしか」で亡くなる人の主な原因です。

これ以外にもよくあるものとして、中耳炎やクループ(のどの奥の炎症で強い咳や呼吸困難の原因になります)などがあります。心筋炎を起こす人もいます。

 

「はしか」のもうひとつの合併症としてSSPE(亜急性硬化性全脳炎)というものがあります。

頻度はごく稀です(患者の約10万人にひとりの割合で起こります)。

「はしか」にかかってから7~10年ほどしてから、知能障害や運動障害が現れ、徐々に進行します。

治療法はなく、平均6~9か月で亡くなります。

 

感染性を有する期間

感染した人は、症状(発熱)が出現する1日前から発疹が消えた後4日くらい(あるいは熱が下がった後3日くらい)まで、他者にうつしてしまう可能性があります。

 

顕性感染と不顕性感染

「はしか」に感染すると(麻疹ウイルスが体に入ると)、9割以上の人に症状が現れます。

感染しても症状が現れない感染(不顕性感染)はほとんどありません。

 

妊娠と「はしか」

妊娠している女性が「はしか」に感染した場合、流産や早産を起こす可能性があります。

 

修飾麻疹

ワクチンを1回のみ接種している人は免疫が十分で無いことがあり、感染してしまうことがあります。このとき軽症で典型的な症状がそろわないケースがあります。これを「修飾麻疹」といいます。

ほかにも「はしか」の発症予防で免疫グロブリン製剤を投与された人、母親からの抗体が残っている赤ちゃんでも「修飾麻疹」は見られます。

「修飾麻疹」は軽症で済みますが、他者に対する感染力はあります。症状があまり出ず診断も難しいので、かえって感染源になる恐れがあります。

 

「はしか」の治療と予防

「はしか」には治療薬がありません。

肺炎などの合併症に対しては治療を行います。

感染力も強い病気なので、ワクチンによって予防することがもっとも重要です。

 

ワクチン

定期接種としての麻疹ワクチンは、多くは「はしか」と「風疹」の混合ワクチン(MRワクチン)が使われます。

定期接種の対象者は、「生後12か月以上24か月未満の者(第1期)」と「5歳以上7歳未満の者であって、小学校入学前の1年間(第2期)」です。

ただし、「はしか」にかかったことがない人のほとんどにワクチンは必要です。定期接種の対象をはずれていてもワクチン接種することが望ましいです。

 

妊娠中の女性や持病などで麻疹ワクチンを接種できない人がいます。その人たちを守るためには周りの人が感染しないようにするしかありません。

2回のワクチン接種歴がない人または確実な罹患歴がない人はワクチンを接種するべきです。

 

「はしか」曝露後の緊急対応

「はしか」に対する免疫がない人が「はしか」患者と接触してしまったときは、接触から72時間以内のワクチン接種、あるいは4日以上6日以内の間にガンマグロブリンを筋肉注射することによって発症を回避する試みがなされることがありますが、効果は完全ではありません。

また、ガンマグロブリンは血液製剤なので、使用にあたってはよく説明を受けて、効果とリスクをしっかり理解する必要があります。

 

発症予防のための麻疹ワクチン緊急接種は0歳児でも対象になります。ただし生後6か月頃までは母親由来の抗体による感染回避を期待できるので、生後6か月以降での接種が一般的です。

0歳児で麻疹ワクチン接種を受けた場合でも、獲得した免疫が不十分である可能性があるので、1歳を過ぎたら定期接種としての麻疹ワクチンを接種する必要があります。

 

「はしか」と出席停止

 

「はしか」は出席停止になります。学校保健安全法での登校基準は「解熱した後三日を経過するまで…」です。