2017年の抗菌薬啓発週間は、11月13日から19日です。

この期間だけでなく、常に抗菌薬(抗生物質)の適正使用を心がけます。

このページでは、抗菌薬の適正使用についてとりあげます。


11月は薬剤耐性対策推進月間です。 

そして2017年11月13日から19日までの1週間は、抗菌薬啓発週間です。

 

抗菌薬(抗生物質)の不適切な使い方(乱用)による、薬剤耐性菌の世界的な広がりに対する取り組みの中で、世界的な規模の啓発週間は昨年から始まりました。

 

新しい抗菌薬の登場は、これから先も約束されたものではありません。抗菌薬は限りある医療資源といえます。当然ながら、現在の私たちで使い尽くしてよいものではありません。

抗菌薬が、次世代にとっても効果的な治療薬であり続けるためには、私たち全員が抗菌薬の適切な使い方を意識するべきです。

 

このポスターは2015年の抗菌薬啓発週間に使われたものです。

 

 


CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、抗菌薬の適正使用を訴えるために、「GET SMART」というキャンペーンを展開しています。

 

右の表は日本語に翻訳したものですが、私たちにとって身近な病気の原因がウイルスなのか細菌なのか、あるいは、抗菌薬を使って治療すべきものなのか、そうでないのか、わかりやすく説明されています。

 

私たち臨床家が、日常から病原体を推定し適正な治療方法を選択すべきことはもちろんですが、一般の方も自分の治療薬について考えてみる必要があります。

 

自分自身のためでもあり、自分以外の人たち(次世代の人たちを含む)のためでもあります。


左のグラフはアメリカで新しく承認された抗菌薬の数の推移を表しています。

 

1983年から1987年の5年間では16の新規抗菌薬が使われ始めましたが、その数は徐々に少なくなり、2008年から2012年ではわずか2つとなりました。

 

無限に新しい抗菌薬が開発されるわけではありません。抗菌薬の開発されるスピードを、病原菌が耐性を獲得するスピードが上回る状況がつづくと、私たちは治療に使える手段を失ってしまうことになります。それは恐ろしい世界です。


2017年2月15日の毎日新聞です

「薬剤耐性菌問題」についての記事が掲載されました。

 

一般の臨床家として取材を受けました。

抗菌薬使用に際しては細心の注意が必要であることなどをお話ししました。

 

複雑な話なんですが、記者の方にわかりやすくまとめていただきました。

 

日々臨床を行っている私たちが、抗菌薬の正しい使い方を徹底することが大切です。

 

そして薬を処方される立場の人たちも、「自分に処方された薬がなぜ必要なのか?」を考えてほしいと思います。

 

抗菌薬は限りある資源です。

少しでも多くの有効な抗菌薬を次世代に残すために、いますぐ行動を起こさなければなりません。